
住宅取得等の資金贈与に関する非課税制度を整理してみましょう。
贈与に掛る暦年課税(年110万円)、相続時精算課税、住宅資金贈与の特例について…。
なお教育資金贈与の特例(平成25年4月から平成27年末までの時限立法)の説明も、次の図の欄外に記載します。
備考: 相続時精算課税とは、
a) 生前贈与に特別控除2,500万円、及び軽減税率(一律20%)適用があります。
b) 相続発生時には、
生前贈与財産と相続財産を合わせて相続税を計算します。
その計算額から、生前贈与で支払った20%税率の贈与税を差引いて、精算します。
非課税制度
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➀毎年110万円迄 |
➁相続時精算課税
(税率は一律20%) |
住宅資金贈与の特例 |
➂ 相続時精算課税 |
➃左3項以外 |
➀~➃の重複適用 |
➀と➃は重複適用可
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➁と➃は重複適用可 |
➂と➃は重複適用可 |
➃と、➀~➂のうち、
いずれかと二重適用可 |
適用期限 |
期限なし(恒久)
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期限無し(恒久) |
平成26年末迄 |
非課税枠 |
基礎控除
110万円の控除枠 |
特別控除2,500万円迄 |
特別控除2,500万円迄 |
家屋 |
省エネ
・耐震 |
それ以外
(一般) |
H24 |
1,500
万円 |
1,000
万円 |
H25 |
1,200 |
700 |
H26 |
1,000 |
500 |
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贈与者 |
誰が贈与者でも可 |
65歳以上の親が贈与する場合に適用
(H27/1以降は、65歳以上の
親、又は祖父母の贈与する場合に適用)
※両親、両祖父母各々からの贈与は可能
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親が贈与する場合に適用
※両親各々からの贈与は可能 |
親ら直系尊属(年齢関係なし)が贈与する場合に適用
※両親、祖父母各々から子への贈与は可能 |
受贈者 |
誰でも対象になる |
20歳以上の子が受贈する場合に適用
(H27/1以降は、20歳以上の子、孫が受贈する場合に適用)
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20歳以上の子が受贈する場合に適用 |
子ら直系卑属(20歳以上)
が受贈する場合に適用
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特記事項 |
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生前贈与の時の時価で、将来の相続税評価が行われる。そのため次のようなモノに有利
・公開予定の株
・市街化編入される予定の農地
・値上がり確実な資産
・低評価になっている賃貸建物(以後多額の収入を稼ぐことになる) |
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使い道(使途) |
何に使っても良い
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何に使っても良い |
※ この図の下欄外に記載 |
申告期限 |
翌年3月15日(土日休祭日の場合は翌平日)
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※ ➂➃には、使い道(使途)の制限があります。その制限は「次の条件を全て満たした場合に適用」と云うことです。
(1) 自己の居住用家屋等の取得
イ)50㎡以上の新築
ロ)50㎡以上の既存住宅で次のもの
ⅰ) 木造→築後20年以内
ⅱ) 耐火建築物→築後25年以内
ⅲ) 新耐震基準適合証明のある建築物→築後制限なし
ハ) ④については、上記イ)及びロ)の50㎡は、50㎡以上240㎡以下と読み替えること
(2) 一定の増改築費用100万円以上の出費
(3) 住宅取得等の要件
住宅資金取得の翌年の3月15日迄に、住宅を取得、新築し、又は増改築を完了すること(原則)。
(4) 居住要件
上記(3)項と同じ3月15日迄に居住すること(原則)。
「教育資金贈与の特例」は、受贈者一人について、1,500万円の枠を設ける。
祖父母(各々別々も可能)が孫に贈与する教育資金(教育資金非課税申告書を銀行経由で税務署に提出する)に適用される。
・留学等の場合は、それ相当の費用が掛ります。そのような留学手当には非常に有効です。
受贈者名義の銀行口座に一括預入する。
受贈者(その親を含む)は、学費・塾費用をその都度、引き出すことができる(教育資金充当の証明書を銀行に提出する)。
受贈者の口座に「残金」が残る場合はその残金は贈与となる。30歳の翌年3月15日までに「贈与税申告」をすることになる。
関係書類は、受贈者30歳の翌年3月15日後、6年を経過する日(6年後の9月16日)まで保存が必要です。

上記各項目を上手く利用すると、1億数千万円の「非課税枠」が作れます。
タイミング等に留意して、相続税の「すそ野が広がった」ことに対応して、贈与税の非課税枠を上手に使って下さい。
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